≪映画感想≫『アウシュヴィッツの生還者』

 

投稿者:グッビオのオオカミさん

  

 

 

 映画『アウシュヴィッツの生還者』公式サイト

https://sv-movie.jp/

 

今日は映画「アウシュビッツの生還者」を視ました。

映画はだいたい8月11日〜8月27日の間に上映していた様で、今日は最終日だった様です。

しかしまた有料動画配信されたり、DVD化もされるでしょうから興味がある方はそちらを視聴して見て下さい。

 

映画は実際の過去の出来事を映画化したものです。

 

【あらすじ】

『戦後のアメリカでポーランドのアウシュビッツ強制収容所から生還したボクサーがいた。

名前はハリー・ハフト。

「ポーランドの誇りにして、アウシュビッツの生還者」を売り文句にしていた。

当初の連勝からかげりが見え、最近では収容所の体験のフラッシュバックに苦しみ6連敗を喫し負け試合が続いてしまう。

彼がボクシングを覚えたのはアウシュヴィッツ強制収容所内でナチス親衛隊の将校から教わったものだ。

アウシュヴィッツ強制収容所内でナチス将校たちは「賭けボクシング」を楽しんでいた。

ユダヤ人同士を闘わせ、どちらが勝つか金を賭ける。

勝ったユダヤ人はその日は生き残り、負けたユダヤ人はその場でドイツ兵に射殺される。

ハリー・ハフトはボクシングで同胞に勝ち、収容所では生き残る。しかしそれは同時に同胞を死に渡す行為でもあった。

 

そして戦後アメリカで暮らすハフトには目的があった。彼は生き別れた恋人レアを探していた。

収容所内の情報で恋人レアの安否は途中までは追えていた。しかし、戦後になり混乱の内に消息不明になる。

 

ボクサーとしては落ち目のハフトは、ある日プロモーターに「マルキアノと試合を組んで欲しい」と言う。対戦相手に選んだマルキアノは次期世界チャンピオンと目される実力の持ち主。

ハフトは実力者マルキアノとの試合により話題性を高め、どこかに無事に生きているであろうレアに自分の健在を伝え再会を果たしたかった。

ハフトは実力者マルキアノとの対戦前に自身の過去について新聞記者の取材に応じる事を決意する。

 

他方でハフトは移民サービス事務所にも働きかけ、レアの行方を追う。

事務所の職員の女性ミリアムは、ハフトの苦悩に寄り添いつつ、いつしか職員の立場を超え、ハフトと共に行動する様になる。

ハフトはミリアムに自分の悩みを打ち明ける過程で徐々に閉ざした心を開く。

しかし少しづつ開き始めた心はまた、ハフトをいつも《あの時代》に戻す。

ハフトはミリアムと共に、消せない過去と消えない記憶に向き合う…』

 

 

ネタバレになるので、あらすじはここまでにします。

 

時代と歴史と政治。各個人もまたそこから自由でも無縁でもいられません。

我々もまた、コロナ禍、皇位継承問題、統一協会問題、隣国ロシアの動向など多くの同じ時代の状況に左右されています。

「アウシュヴィッツ強制収容所のハフト」は、時代や形や立場が違えどそれらの問題の中に、大なり小なり居てるのでしょう。

 

これは極めて私的な余談になります。

映画を見て思い出したエピソードです。

私がカトリック教会の洗礼を受ける前にアフリカ出身(国の名前は伏せます)の司祭にお世話になりました。

アフリカ出身の司祭は司祭になる前の一般信徒の時に、内戦を経験していました。

内戦時の兵士は家族が6人居れば、2人をワザと生かすそうです。その2人の目の前で4人を惨殺すると言います。

今は一応、内戦は終わったものの、そのアフリカの司祭は自問するかの様に私の知人に問うていたそうです。

「キリスト教では罪の赦しを説く。しかし、家族を目の前で殺された者は、本当に家族を殺した兵士を赦せるか…?」

その司祭が若い頃に兵士の側だったのか、殺された家族の側だったのかは、もう本人は他界しているので分かりません。

また私はその司祭が過去にどちら側だったとしても、私が安全圏から彼に何かを言う資格があるとも思えません。

 

 

話を映画に戻します。

映画「アウシュヴィッツの生還者」は過去に苦しむ主人公を通して映画を見たものに問いかけます。

 

「これは誰の罪なのか?」

「彼は何を選べば良かったのか?」

 

比較的治安が良い日本でも、普通に生活をしていれば悩みはあり、つらい出来事に心を痛めます。

しかし、死線を前にした極限状態でしか分からない「問い」もまたあり得ます。

歴史や政治に左右された時に、個人の運不運や思いを超えた人間の業の深さ、世の中の闇の深さを目の当たりにする事は確かにあるでしょう。

 

その時に、自分ならばどうするか?

そんな事を色々と映画視聴後に思いました。

 

 

 

 

(ねこだるまのコメント)  

 

今、私たちは安全圏にいる。

少なくともハリー・ハフトが味わった理不尽を「自分が受けることになる」ことを心配しなくてよい程度に。

 

そのことをどう受け止めるか?


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コメント: 6
  • #6

    リカオン (木曜日, 31 8月 2023 22:51)

    見てはいませんが、紹介いただいた内容を読んだだけでも重い映画ですね。
    生還者とは言うものの慰み物だったわけで、その中で戦って生き残るしかなく、自分が勝たなければ自分が勝ったせいで殺されて行った者といつ入れ替わって同じ運命を辿ってもおかしくなかった。
    積極的な意味でのサバイバーとも違う。自分がその立場だったら、どうだろう。自分や自分に負けたせいで殺された人の事を思うと、惨めに感じて人に進んでサバイバーなどと言えないと思う。

    コロッセウムの剣闘士のような気分か。それとも闘犬や闘鶏と同じ扱いをされたような気持ちか。

  • #5

    グッビオのオオカミ (水曜日, 30 8月 2023 20:36)

    枯れ尾花さんへ
    ポーランド軍にそんな強者のスパイがいたんですね!
    アウシュヴィッツに潜伏して、また生きて戻る…。何か、それもスゴい話です。

  • #4

    枯れ尾花 (水曜日, 30 8月 2023 00:06)

    #3
    潜入した人物の名はヴィトルト・ピレツキィ、ポーランド軍の元スパイでした。

  • #3

    枯れ尾花 (火曜日, 29 8月 2023 22:54)

    我が地元の映画館では10月20日より上映予定です。

    そう言えばアウシュヴィッツの収容所に自ら潜入し、その実態を外部に伝えようとしたポーランド人( 名前は忘れました )の生涯についてのドキュメンタリーがBSNHKで放送されてました。彼は収容所の中で仲間を増やし、必要によってはナチス兵を必殺仕事人のように闇に葬るといった離れ業までやっていたそうです。そして、最終的には生還していました。
    殺される可能性が極めて高い場所に自ら身を投じ、目的を完遂した彼に凄まじい意志の強さを感じました。

  • #2

    牛乳寒天 (火曜日, 29 8月 2023 21:58)

    とても興味深い映画ですね。とても覚悟がいりそうですが、観たくなりました。

    私は極限事態に陥った経験がないので、自分の良心がどこまで通用するか、そんな事態にどう対応できるか、時折想像するくらいです。想像したところで何もできず、何の役にも立たないですが、物事を考える上で必要な過程だと思います。

    私の住む地域でも観られたらいいな、今から調べてみます。覚悟きめときます。

  • #1

    グッビオのオオカミ (火曜日, 29 8月 2023 20:01)

    補足です。
    地域によって上映期間が違うので、公式サイトの「劇場情報」をご覧下さい。