≪読書感想文≫「政治と宗教 -統一教会問題と危機に直面する公共空間 」

 

投稿者:グッビオのオオカミさん 

 

編者:島薗進 岩波新書 2023年1月20日発行

最近、私が個人的に注目している学者が島薗進氏です。

ジャンルは比較宗教学です。

実は、統一協会問題を扱いつつ、同時に皇位継承問題に踏み込んだ感覚を持つ人はほとんど見ません。

私が見る所、統一協会問題を扱うジャーナリストや弁護士や元信者でも、あまりその2つの問題の関係性には関心が払われていないと思います。

しかし、島薗進氏は政治と宗教を巡り、統一協会問題は保守派を介して、皇位継承問題にまで関わると理解している様子です。

以下、Twitterをご覧下さい。

安倍晋三と統一協会

https://twitter.com/Shimazono/status/1670777256044802050?s=20

皇室典範と宗教右派

https://twitter.com/Shimazono/status/1659493736651554817?s=20

ゴー宣と共闘とまでは行かないかも知れませんが、私自身は色々と参考になりました。

 

今回私が読んだ、島薗進氏の「政治と宗教」は

序章  公共空間における宗教の位置(島薗進)

第1章 統一教会による被害とそれを産んだ要因(島薗進)

第2章 統一教会と政府・自民党の癒着(中野昌宏)

第3章 自公連立政権と創価学会(中野毅)

第4章 フランスのライシテとセクト規制(伊達聖伸)

第5章 アメリカ-政教分離国家と宗教的市民(佐藤清子)

終章  統一教会問題と公共空間の危機(島薗進)

との章立てになっています。

 

割と、天皇拝跪や日本会議や神道政治連盟の動きや、統一教会の聖書の曲解ぶりや、統一教会の安倍派への工作活動などかなり端的にまとまっており、

また、創価学会との相違点と類似点。フランスとアメリカとの比較(特にフランスの反セクト法の成立時の葛藤や、宗教票も選挙基盤になるアメリカの政教分離の在り方は面白かった)など将来的な洞察にもなります。

島薗進氏にとっては統一教会問題は宗教問題以前の人権侵害問題であって、その反社会的勢力と蜜月の関係を続ける事により、国家と国民の政治と言論の在り方が危機に陥っている、これを「公共空間の危機」と捉えて論じておられます。

 

まあ、小林よしのり先生が有田芳生氏と共著「統一協会問題の闇」を出され、イベントもされましたが、宗教学者としてのまた違った切り口がとても新鮮に思いました。


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コメント: 7
  • #7

    グッビオのオオカミ (水曜日, 28 6月 2023 08:32)

    なるほど。
    「国家神道と日本人」も読みたくなって来ました。島薗進氏は統一協会問題もさる事ながら、宗教学の立場から神道の研究もしておられます。
    皇位継承問題と絡めて、こちらも気になる一冊です。

  • #6

    ひとかけら (火曜日, 27 6月 2023 12:03)

    グッビオのオオカミさん:#5

    国家神道と日本人も読了しました。明治において国家神道が他の宗教より上で監督化に置くことで日本という国家の独自性を主張出来てた時代と違って、現代では宗教はあらゆる巧妙な手を使って日本という国に男尊女卑的な価値観を植え付けたのではないかと思ってます。男系固執派の人達は日本という国に誇りを持ちすぎる余りに武人としての男系天皇に固執していると私は思います。日本はこれから祭政一致ではなく立憲君主国とならなくては未来は無いですね。

  • #5

    グッビオのオオカミ (火曜日, 27 6月 2023 07:16)

    !!
    ひとかけらさん読んでいましたか、さすがです。
    ひとかけらさんは島薗進氏の「国家神道と日本人」も読んでそうな感じを受けます。
    右翼側が手を組んだのもあるかも知れませんが、文鮮明が安倍派を中心に入り込む様に指示した背景には、反日、反天皇、日本自虐史観、韓国小中華思想の統一協会の保守派の反発を「買収」で封じ様とする狙いがありそうです。
    また、安倍晋三は2009年に民主党に敗北してから統一協会との共依存関係を、かなりハッキリ作って印象です。

  • #4

    ひとかけら (火曜日, 27 6月 2023 06:48)

    自分も最近読み終えました。
    印象に残っているのは本栖湖会議で文鮮明と日本の右翼の大物である笹川良一達が会談しました。ベトナム戦争最中で反共が旗印になってた時代で日本の右翼も同調せざるを得なかったという背景があったようです。統一教会の反天皇は有名なので右翼側は反発したかったのでしょうが手を組んでしまいました。これは統一教会に保守が取り込まれた瞬間だと思ってます。だから尊皇心を持っていると錯覚して自分が皇室を危うくしてるなど汁ほどにも思ってないのでしょう。
    政教分離と言っても宗教と政治の結び付きはここ何十年かで一気に強まったのだと感じます。もはや宗教は庶民の私的な領域ではなく国家と結び付くことで堕落する可能性も高くなりました。



  • #3

    サン (火曜日, 27 6月 2023 00:05)

    大正大学客員教授の方なんですね。西巣鴨の大正大って日本初のカウンセリング研究所があったり、地味だけど実直な印象です。
    ご紹介ありがとうございます!

  • #2

    グッビオのオオカミ (月曜日, 26 6月 2023 23:34)

    追記:
    神奈川新聞に出ていた、島薗進氏の皇室典範改正に関する問題意識ですね。
    皇位継承と生前退位の在り方に問いを投げかけ、皇室典範改正の必要を述べておられます。
    これは私よりよほど詳しい方がたくさんおられると思いますので、読まれた方の感想をお伺いしたいですね。
    【次代への問い】(中)剝がれた保守の仮面 | 社会, 時代の正体 | カナロコ by 神奈川新聞
    https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-164831.html#google_vignette

    時代の正体〈469〉権威主義の呪縛今も(下) 国体論より人間性を | 社会, 時代の正体 | カナロコ by 神奈川新聞
    https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-12700.html

    ただ、今回紹介させて頂いた岩波新書の「政治と宗教」では、宗教右派と統一協会と日本の政界という論点は書かれていますが、あくまでも統一協会問題の分析と考察が主な目的なので、本の中で直接に皇位継承問題には触れてはいません。

  • #1

    リカオン (月曜日, 26 6月 2023 20:51)

    そういえば宗教学者の視点でT協会について書かれているものを読んだ事が無かったです。
    Twitterを拝見しましたが、女性天皇排除と儒教の関連も述べておられるのですね。
    取り寄せて読んでみようかな。